運命のヒト
好きだと言いたかった。
あいつに触れたかった。
抱きしめたかった。

もう少しでいいから・・・傍にいたかった。


どうして俺はいつも素直になれないんだろう?


好きだから一緒にいたい。

好きだから別れたくなかったのに。

好きだから付き合いたいのに。

もう一度、やり直したい・・・。


『好きだ』

と言えば、何か変わるかもしれないのに・・・。

たった三文字の言葉が、言えなかった。


最後の最後まで言えなかった・・・。




俺は今日、中学を無事に卒業した。


思い出のいっぱい詰まった学校。

水嶋の笑顔が今でも脳裏に焼きついている。


俺は歩き出した・・・。


・・・胸に残った思い出を抱えたまま・・・。



今でも俺の心にはあの頃の思い出とあの時の後悔だけが残っている。




< 173 / 177 >

この作品をシェア

pagetop