運命のヒト
俺の話を聞いていたおっちゃんがこう言った。


「自分で働いた金で買おうって思った
 んか?」

俺は大きく頷いた。


「よし、分かった!
 一ヶ月、働かしてやる!」

「ありがとう、おっちゃん!!」

俺がそう言うと、

「おっちゃんじゃない!
 社長だ!!」

おっちゃんはそう言って笑った。



それから、俺は毎日学校が終わると、おっちゃんのところで仕事をするようになった。

っていっても、6時から9時の間の3時間だけだけど・・・。


毎日、毎日、その繰り返し。

結構しんどいけど、水嶋のことを想うとがんばれる。


愛の力はやっぱりすげぇよ。

まぁ、中学生だから大した額はもらえねぇけど・・・。


それでも、一ヵ月後に向けて、俺は頑張る。


仕事は意外に楽しい・・・。

それは、水嶋に告るんだっていう目標があるからなのかもしれない。


「なぁ、優士。
 好きな子ってどんな子や?」

帰る準備をしていると、おっちゃんがそう聞いてきた。


「すげぇ可愛くて、すげぇいい奴。
 おっちゃんにも見せてやりてぇよ。
 最近は俺、健二と水嶋といっつも一緒に
 おってな。もし、水嶋と付き合えたら、
 あいつのこと絶対大事にする」

俺がそう言うと、そうか~と言っておっちゃんは笑っていた。


俺、親父にもこんなこと話したことねぇよ。

おっちゃんにならなんでも言える。


小4の時から好きだったこと。

だけど、神田とこの前まで付き合ってたこと。


今日、水嶋とこんなこと話したとか。


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