運命のヒト

指輪

あれから、俺は考えていた。

・・・水嶋のこと。


そして、学校が終わると、健二が町に行こうというのを断ってある場所に向かった。


健二は水嶋のこと気長に待ってくれとかって言ったけど、俺達には時間がない。


そう思った俺は、ある場所に向かった。


・・・・・そこはおっちゃんの家。



「おっちゃんのとこで働かせてくれ!」

俺がいきなりそんなことを言い出すから、おっちゃんはびっくりしていた。

「優士、一体、どうしたんや?」

「俺、金がいるんや・・・。
 わけは言えねぇけど・・・」

俺がそう言うと、おっちゃんは真面目な顔をして言った。


「わけが言えないんなら、無理だ。
 それに、お前はまだ中学生だろ!
 どうしても金がいるんなら、貸してやる!」

そう言って、財布の中から金を出そうとした。


「ダメなんや。
 俺が自分で稼いだ金じゃねぇと・・・」

俺がそう言うと、おっちゃんはわけを話せと言ってきた。

俺は、しぶしぶ話すことにした。


「好きな女に指輪をあげたいんや・・・」

「好きな女?
 それは彼女か?」

おっちゃんはそう聞いてきた。

「実は、俺・・・好きな子に告ろうと思って。
 ずっと、好きだった子に・・・。
 その時に、指輪を渡そうと思ってるん
 やけど・・・」


おっちゃんは、ただ黙って俺の話を聞いてくれていた。


俺は、恥ずかしげもなく真剣に水嶋のことをおっちゃんに話した。


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