車輪の唄
車輪の唄
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
その時、僕は白い息を吐きながら自転車を漕いでいた。
「やばい遅れた」
空はまだ暗くて自転車のライトが照らすアスファルトの道路は、いつも通っている道なのにずっと細く見えた。

角を曲がるたびに”キィーっ”とかん高いブレーキの音が静かな街に鳴り響いた。
「うるさいんだよ!」
自転車に文句を言いながら彼女の家に向かう。
今日、知らない街に行く彼女の元へ。
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