DOLL・・・ ~秘密倶楽部~

「ゥゲ!
 もぅ、こんな時間」


時計を見た柊音が
慌てて立ち上がる


「俺、また出かけるから

 帰りは遅くなるから
 先に休んでて」


乙羽が小さく
コクリうなずくと
柊音は部屋に行き
慌てて準備する


「じゃ...
 
 何かあったら
 電話して
 番号、そこに
 メモっといたから...」


「ぅん」


慌しく出かけていく柊音

バタンとドアが閉まり
部屋に一人残された乙羽は
少しずつ...
「DOLL」の意味を
理解し始める


 主がいなければ
 何の意味も持たない
 人形...

 時に使用人...
 時に恋人...

 主の意のままに動く
 あたしは人形...

 決して感情を
 
 持ってはいけない...



飯岡の言葉が脳裏をよぎる



『一つ、忠告しておく...

 決して...
 本気(マジ)になるな

 相手は
 お前がどんなに望んでも
 手に入らない 
 
 お前はヤツらに与えられた
 オモチャに過ぎんというコトを
 肝に銘じておけ...

 バカな女の行く末なら
 もぅ、何度も見てきた

 迷惑な話なんだよ...
 
 手に入らないからと
 自らの命を
 投げ出すなんて...」


それは...

普段、あまり感情を
表に出さない飯岡が
珍しく感情的に
発した言葉だった


普段、無口な飯岡が放つ
言葉の一つ一つには
重みがあり

サングラスの奥の悲しげな瞳に
飯岡の「深い闇」を
見た気がした...


でも、その時のあたしは

金で女を買うような人に
「本気」なんて
なるはずがないと
飯岡の話を聞き流していた


でも...


それが現実味をおびた瞬間...

それはなんて
悲しい話だったんだろう...
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