残酷なラブソング
「なになに?」
陽菜が興味津々に私の肩越しから
啓太くんを覗いた。
「わっ!イッケメーン!
こーゆう可愛い感じタイプ〜
名前なんてゆーの?」
陽菜のごり押しに、腰を引きながら
引き攣った笑顔で啓太くんは
適当に対応していた。
・・・・君島さんの見送りかな。
「これ持ってきな!」
「は、はぁ・・・、いいんですか?」
陽菜は啓太くんに、
さっき買ったお土産の一つを
無理矢理持たせた。
「いいも何もない!」
とか訳分かんない事言っちゃって。
啓太くんは、じゃあ、と言うと
人込みに消えた。
「あの子、君島さんの彼氏?」
「へっ!?」
愛未は私から視線を逸らさない。
正直、そうなんじゃないか、或いは
色恋の所事情があったんじゃないか、と
睨んでいた。
でもまさか愛未の口から出るとは
思ってもみなかった。
「今だって君島さんの見送りでしょ?」
「うん、多分。」
心なしか声色に覇気がないのが
自分でも分かる。
「・・・ふぅ〜ん」
啓太くんはパン屋の息子さんで、
私はそこのアルバイト。
ただ、それだけ。
それだけなのに
私・・・・・
今、何を思った?