Automatic Dream
ニューフェイス
気付くと始業式はもう終わっていた。

校歌斉唱の直後からだから、開始5分後位か、その辺りからずっと寝ていたからだ。

そして今は教室。
ガヤガヤと小煩いが妙に心地良い様な不思議な感覚を、懐かしい思いと共に感じているところだ。

そこへやって来たるは又も名称不明隣学級担任教諭。

「あー黒河先生は夏休み中に事故にあって今ちょっと入院中です。命に別状は無いそうですが、しばらく教壇復帰は難しいと言う事です。なので本日付で本校に赴任して来た佐藤先生に臨時で担任を務めてもらう事になりました。佐藤先生、どうぞ」

そう言って何やら手招き。

何だなんだ、聞いてねぇぞ、新任なんて。

「はい」

女か、声を聞く限りでは若い様だが。
くそ、やっぱ寝るんじゃ無かったな。
若い女教師なんて言う色めかしい存在がこの学校に誕生した事に今まで気付けないでいた。

ハイヒールの音を響かせながら、灰色のピッタリしたスーツを身に纏った、ショートヘアの小柄な体が教卓の前までやって来た。

俺の網膜は、絶えず目の前の光景の情報を脳に送り続けていたが、脳の方は海馬の内部をまさぐり、ある記憶を探し出そうとしていた。
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