想い日和 <短>
私達が向かう先。
……違う。
私の足が、自然と動いていたんだ。
……始まりの
グラウンド――
そうしたら、勇気をもらえる。
……そんな気がしたから。
去年のあの日のように、まだ誰もいないこの広い場所は
当たり前だけど、白じゃなくていつもどおりの茶色だった。
どれだけ望んでも
――空は晴天。
太陽の暖かさと、外気の冷たさが、とても心地よく感じた。
「……木村、あのさ――」
……あぁ、
どうしよう。
いざとなると口が動いてくれない。
雪が降ったらなぁ……
真っ白な雪の中なら告える気がするのに――
……違うな。
そんなのただの言い訳、か。
大きく深呼吸。
背筋が伸びる。
北から吹き抜ける冷たい空気を体いっぱいに巡らせて
私は、震える全身を冴えさせた。
「木村!あのさ、私――」
――あと一息。
もう少しのところで、私を遮ったのは
他の誰でもない、木村本人だった。
「だぁーーーー!待て!頼むから……待ってくれ!」
「……え――」