長くて短かった月日
「済みません、先生大人しくしますから手元だけはシッカリお願いしますね」と、言うと
「安心しなさい、シッカリとマツリ縫いしておくから」
「有り難うございます マツリ縫いで、キュキュッと締めといてって、俺の足は生地ですか。」
「イャそんな事考えてはないけどあんまり騒ぐと本当に」と、言葉を切った。
俺は笑って居られる間に止めて置こうと考え黙り込んだ。
暫くすると、
「もうすぐ終わりますよ」と、聞こえて来た。その頃には身体が冷えて寒くて堪らなくなっていた。全ての処置が終わり元のストレッチャーに戻されるときまた事件が起きた。
手術台からストレッチャーに戻るとき俯せから仰向けに成る為転がされ時点滴のチューブが何かに引っ掛かり針が抜けてしまったのだ、血は飛び散るし針が抜けるとき変な方向に抜けたから痛いしその上また局部を見られてしまうし。看護士さんは点滴が抜けて焦っていて、新しく針を打てないらしく血管を見つけられないらしく「痛いよね、ゴメンネ別の所に入れようか」と、言い手首の近くで血管を探し始めたが又見つけられずにグリグリ差し回し揚句見付ける事が出来ず麻酔科の先生が、 「しょうがないな俺が入れます」と、新しい針を出して来て血管を探すがなかなか見付からず、大変な思いをしてしまった。やっと見付けられた時には、かなりの時間が過ぎていた。情けないのはそれだけに留まらずオムツをした上からT字帯を付けられている勿論管は入れられたままだ、オペ着を着せられ毛布を掛けられオペ室から運び出された。
一つ目の扉を出た所で病棟の看護士が来るまで待つ事になった。
それにしでも寒い、身体に震えが走っている。それを我慢しながら、
「それにしても、何だか待たされる日だなァ 速くベットに戻りたいのに」と、言うと
「どこか、調子悪いの」
「調子悪い所じゃ無くて、最悪ですよ。今頃になって酷い震えが来てますよ」
「少し我慢してね。もう来ると思うから」
「いくらでも、我慢するから直ったらデートしてくれる」
「患者さんじゃ無ければ良いよ」
「マジ、じゃあ電話番号教えてよ」
「駄目よ、今は未だ患者さんだから」
「それなら、頑張って治して退院前に聞きに来るよ。それなら良いよね」
「気が変わらなかったらね」
「まぁなんでも良いやとにかく頑張って速く治すから」
「そうして、待っているから
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