バレンタイン王子

バレンタイン誕生日



森田が出ていった教室は急に静まりかえって,俺とユナしか居ないことを感じさせた。



「順ちゃん。あのね…」


ユナが口を開いた。


「っあ!!俺,用事あったんだ!!今思い出した〜。……っつーコトで,また明日なっ!」


俺は逃げるようにしてユナの言葉を遮り教室を出ようとした。


ユナにフラれるのが怖かったんだ。


自慢じゃねぇけど,俺は告白したこともなければフラれたこともない。


いつも告白される側。


んで,上手くいかなくなったり飽きてきたら別れを切り出す。


いつもフル側。


別にフルのは怖くねぇ。フラれるのが嫌だから先に切る。
フラれるのなんて俺のプライドが許さねぇ。



……だけど,今は違うんだ。


プライドとか関係ねぇ。


ただ,ユナと言う存在を失うのが怖いんだ。


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