応援団長の恋するチョコレート
どたどたと階段を
駆け上がる音が聞こえると
俺の部屋のドアが開いた

「根暗な兄貴よ!
大変だ、兄貴の女が倒れてる」

「はあ?」

妹の真理が訳のわからないことを
言っている

「だから凄い傷だらけなんだ
兄貴に会いたいって言ってる」

俺に会いたい?

もしかして東條か?

「クリスマスに一人で
部屋に閉じこもっている
根暗な勇太!

早く下におりてらっしゃい」

今度は1階から
母親の声がしてきた

…ていうか
俺の呼ぶのに親子そろって
『根暗』ってどういうことだよ

俺は
玄関に行く

玄関には
顔を腫らしている東條が
ぐったりと座っていた

「おいっ
どうしたんだよ」

「とりあえず手当をしよう
勇太の部屋でいいかな?」

親父が俺の背後で
口を開いた

「駄目よ
勇太の部屋はダメ!」

母親が却下した

「そうそう
兄貴の部屋に行かせたら
犯される!」

妹まで
俺の部屋を却下した

「んじゃ、真理の部屋は?」

「私?
汚いよ?」

「んじゃ、居間だ」

俺が東條を抱きあげて
居間に運んだ

父親が一度部屋を出ると
黒い大きな鞄を持って
戻ってきた
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