応援団長の恋するチョコレート
「とりあえず診察させて
いただくよ」

父親がそう言うと
東條の体を触り始めた

傍で見守っていた俺は
妹に耳に引っ張られながら
廊下に出された

「男は外だ!」

俺だけ廊下に
追い出された

「…んだよ」

俺は廊下に座り込むと
東條の治療が終わるのを待った

親父は医者だ

開業医だ




…でも小児科専門だ


大丈夫なのだろうか?


母親も看護師の資格を
持っているが…

もう何年も
現場から離れている



…不安だ

妹は看護師の専門学生だが


…あいつは
馬鹿だ




さらに不安だ


かといって
俺は

何の知識もない

医者になろうという気持ちもないし
看護師に興味があるわけがない


ただ
廊下で待っているしか
できなかった
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