応援団長の恋するチョコレート
俺は一人で
居間に戻った

親父は東條の両親に
電話をしている

居間に入ってきた俺に
気がついた東條が
泣き出しそうな顔をしていた

「親父が
東條のご両親に電話してるから」

「え?」

東條の顔が歪んだ
首を横に振る

「それと
病院に行こう

親父の知り合いの病院だから
心配しなくていい」

眉間に皺をよせて
さらに勢いをまして
東條が首を振った

「行こう」

俺が手を握る

東條は下を向くと
下唇をかんだ

「大丈夫よ
何かあったら
勇太がどうにかしてくれるわ」

「俺か?」

「そうよ
男の子でしょ!
男は女の守るものよ
そう教えたはずよ」

「あー、はいはい」

俺は
東條の顔を見た

すごくつらそうな顔をしていた

「三原?」

東條はこくんと
頷いた

「わかった
もう何も言わなくていいよ」

俺は東條の頭を
ポンポンとたたいた

東條は
声をあげて
泣いた
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