応援団長の恋するチョコレート
「兄貴って意外と
男らしいんだな」

「ああ?」

俺はスポーツバックを玄関に
置いていると
妹の話しかけられた

東條は産婦人科で
検査を受けた後
迎えにきた母親と一緒に
自宅に帰って行った

東條の母親には
俺から事情を話した

たぶん
東條の口から話すのは
つらいだろうから

「父さんが驚いていたよ」

「あっそ」

「好きなの?」

「好きだよ」

「で?
付き合うの?」

「お母さんも気になるわ」

どこで聞き耳をたてていたのか
母親が顔を出してきた

「あのな!
……しばらくは付き合わない」

「ちょっと!」

母親が立ち上がると
俺の目の前にずいっと
出てきた

「それって
今日のことがあったから?
男に襲われた女に触れたくないとか?」

母親は怖い顔をしていた

「違う!
確かに今日のことがあったから、だ
でも触れたくないとかそういう理由じゃない

俺が東條の彼氏に
東條が好きだと言ったら
こうなったんだ

東條に怖い思いはさせたくない
だから
付き合わないんだ」

俺の言葉に
母親の顔がぱあっと明るくなった

「さすがお兄ちゃんね!
私の息子だわ
格好良~い」

「勝手に言ってろ」
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