冬うらら2

 ラッキー!!!!

 周囲に、珍しい男が揃っていたと思いきや、もう1人珍しいものを引き当てたようだ。

 律儀にもワンコの社長が、さっきの綺麗なお姉さんを『元秘書様』だと、太鼓判押してくれたのだ。

 これはもう、間違いない。

 そんな様子を知ってか知らずか、有名な元秘書の、有名な夫さんは、その場所を離れて行こうとする。


 逃がすもんですか!


 ハナは酔っていながらも、このときばかりはかなり俊敏に、自分の席を飛び出したのだ。

 ここで会ったが百年目―― ではないにしろ、あの有名な伝説についての真相を、聞き出すことが出来るかもしれない。

 そんなおいしい状況を、彼女が手放すワケがなかった。

 この時の、ハナときたら。

 ワンコの社長、副社長、元秘書の夫と、目につくものに飛びついていた。

 酔っぱらいなせいか、意識が一カ所に長くとどまらないのである。

 一番面白そうなものに飛んでいく、後先考えないネコのような状態だった。

「きゃっほー! 逃がさないもんねー!」

 酔いの勢いに任せて、彼の腕にすがりついてブレーキをかける。

 コウノならふりほどいたりするだろうが、この男はそんなひどい真似はしなかった。

 重石になった子泣きハナの方を見て、困った笑みを浮かべるのだ。

 イケる!

 その笑顔から、確証を得る。

 理不尽な理屈で、突っぱねることが出来ないタチだと分かったのだ。

 ここで感情的な男なら、怒った顔をするだろうが、この笑顔は穏やかな性格のアカシ。

 ハナの目が、ネコの線目になった。

 ついでに、ツメもキラーンというヤツだ。
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