冬うらら2
◎チョコレート

「あらまあ…」

 水割りのおつまみに回ってきたチョコレートに、ハルコはちょっと心が躍ってしまった。

 いままで、塩分の高いものばかりだったが、今度は女性の味方の糖分の高いものである。

 しかし、どっちにしろ彼女には、たくさんの制限があった。

 今日はもう、いろいろ食べたものねぇ。

 知り合いの話で、いろいろ予備知識はあったものの、やっぱり食事制限はつらいものがある。

 ソウマが、他の席で男同士で飲んでいるのを横目で確認しながら、チョコレートの乗っている皿を、リエの方にずいと押した。

「召し上がりませんの?」

 お嫌いでした?

 リエの素朴な疑問に、微笑みで返答でする。

「食べたいのだけど…私の体重を、私より気にしてくれる白衣の人がいて」

 少し遠回しに。

 しかし、この聡明な秘書はすぐに気づいたようで、視線をハルコのお腹の方へと下ろした。

「予定日はいつですの?」

「7月に入ってすぐよ。あら? カイトくんの誕生日と同じくらいかしら」

 ふふふっ。

 わざと、今気づいたみたいに言ってみる。

 本当は、予定日を医者に聞いた時から、そのことについては意識していた。

 しかし、自分とソウマの子供なのだから、カイトのようなタイプが生まれるとも思いにくかった。

 だが、このことはメイとの話のタネにはなると、今気づいたのだ。

 あの2人は、お互いの誕生日を祝ったことなど、ないのだろうから。

 カイトは7月。

 メイは、確か―― ハルコは、目ざとかった。

 あの、婚姻届に記載されている彼女の生年月日を、しっかりチェックしていたのだ。

 カイトの妻は、3月生まれだった。

 生まれた年が一緒で、3月と7月ということは、学年で考えるとメイの方が一つ上ということになる。
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