悪魔のいる教室
「ははっ、ウソウソ。わかってるって」


ケラケラ笑いながら、私の斜め前の席の椅子を引っ張り出す涼子は、
どうやら由美をからかっていたようで。


つくづくSだな、と私は密かに思った。





「ひなた、ドンマイだったね」


食事中。

涼子が話を切り出した。


……何が?

と一瞬思ったけど、涼子がチラリと例の空席見たのに気づいて、
悪魔と隣の席になったことを言ってるんだとわかった。


「まぁ……でも、場所はいいよ。窓際だし、飽きないし」

「たしかに。場所は申し分ないね。でも……」


わざとらしく語尾を濁す涼子は、すごくイキイキしてる。

なにがそんなに楽しいのか……。


「授業、集中出来ないでしょ?」

「うーん。全くですね」


そこで由美に

「ってか、ひなたはいつも集中してないんじゃない?」

と図星をつかれて焦った。

2人に笑われた。
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