悪魔のいる教室
この飲み会は以前、私が悪魔のバスケを見た日に、タツ兄が提案したもの。


『悪魔が渡した一万円を受け取る代わりに、そのお金でビールを買って飲み会を催す』。


「意味ねぇじゃん」と悪魔は呆れてたけど、これはタツ兄なりの優しさなんだと思った。


「ひなた、ジュースもいろいろ買ってきたから飲んでいいぞー」


……なんで私もいるのかは謎だけど。


とりあえずコップにジュースを注ぎ、タツ兄の隣に座ってベッドにうっかかった。

右斜め前に、悪魔。

タバコを灰皿に押し付けている。


よかった。

タバコの匂いって、あんまり好きじゃない。


「ひなた、いつも何時頃家に帰ってんの?」


部屋の左側の角に置いてあるテレビを眺めていた時、タツ兄が言った。

ベッドの脇に置かれてる時計を見ると、16時15分。


「んー……遅くて、7時くらいかなぁ」

「そっか。飲酒だから原チャで送ってけねぇけど、大丈夫か?」

「うん。大丈夫」

「駅までは歩いて送ってくから」

「そんなに心配なら、呼ばなきゃいいだろーが」


それ、私も思った。


悪魔に同感していると、タツ兄がニヤリと悪戯な笑みを浮かべた。
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