悪魔のいる教室
「なんで別々なんだよ!」


タツ兄の笑いの混じった声が部屋に響いた。


以前となんら様子の変わらない部屋は、タバコの強烈な匂いが充満している。


「タツ兄、タバコ臭い……」

「ん? あ、悪りぃ悪りぃ。おい隆斗、窓開けろー」


タツ兄の軽快な声に、こちらに背を向けテーブルの前に座ってた悪魔がダルそうに腰をあげる。


私はタツ兄に促されるまま、ローファーを脱いで部屋にお邪魔した。


小さなテーブルには缶ビール2缶と灰皿とおつまみが置かれてて、床にも缶ビールの山がそびえ立ってる。

きっとあの小さな冷蔵庫に入りきらなかったんだろう。

ってか、こんなに飲むつもりなのか……?


「つーかお前ら、なぜに一緒に来ねぇ」

「別にいいだろーが」


私と悪魔が別々で来た事が疑問らしいタツ兄は、悪魔の素っ気ない答えにもまだ納得いかないみたいだった。


「ってかタツ兄、お酒多すぎじゃない?」

「ん? そうか?」

「お前、マジで一万円分買ったのかよ」


悪魔はそう言って、呆れたようにタツ兄を見る。

タツ兄は「総計な」と言って、ビールを喉に流し込んだ。
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