TSUBOMI

「…え、ええと、一応聞きますが北大路さん、遅刻の理由は?」

ずり落ちたメガネをくいっと上げながら、担任教師の中川公子(43歳)は尋ねた。

「…あたし、遅刻なの?」

「……、40分以上遅刻してるわよっ!?」

しらばっくれる天使に青筋を浮かべる中川。
体が小刻みに震えている。


「へぇ〜。」



‥‥‥‥‥‥‥。


誰もが蕾の次の言葉を待ったが、蕾は喋る代わりにスタスタと自分の席に向かった。


いや、反省の言葉は!!!

と、誰もが突っ込みたかったが、それをやってのける強者は一人もいない。

なぜなら、


蕾はこの学校で誰よりも権力のある天使様なのだから。
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