生徒会長様の、モテる法則
「あぁ、そうや」
恋をする人の顔って、なんでこんなに魅力的なのだろうか。
右京らしくない、と言うのも可笑しなきがするが照れくさそうに頬を染めてはにかむ笑顔は、思わずこちらまで嬉しくなってしまうほどだ。
くすぐったいような表情で笑う彼の髪が揺れてピアスがチラリと顔を覗かせる。
――…好きなんだ。きっと、ずっと
「おまたせしました」
奈央さんが、桜色の和菓子と水羊羹を持ってやってきた。
私の頼んだのは、桜の花びらをモチーフにした少し小さめのモノ。
和菓子なんて、あまり食べないので匂いまでもが新鮮だ。
「え、つうか右京、羊羹?ジジクサイ」
「ほっとき!水羊羹は人生のお供やで」
私が突っ込むと、恥ずかしそうにふてくされた右京がやや強引に水羊羹を食べ始める。
それを笑いながらも、私は自分の頼んだ桜を口にした。
「おいしい…」
中に入った漉し餡と桜の風味がマッチして、お茶に良く合う。
食べ始めた私達を見て、奈央さんはニコリと笑って「ゆっくりしていきなね」と御盆を胸に抱えて去っていった。
「和菓子はな、奈央が作ってんねん」
水羊羹を小さくカットして、私に差し出した右京は嬉しそうに笑った。
まるで、彼女を自慢する彼氏のような。
目の前の羊羹と、右京を見比べる。
「水羊羹、バカにしとったらあかんど」
別に馬鹿にはしてないが…、食べろと、言うことか、これは。
これは俗に言う、“アーン”と言うやつでは?
なんか、恥ずかしいんですが。
私がもう一度彼を遠慮がちに見ると、念を押すようにグイッと水羊羹が口元に近付く。
私は意を決して、パクリとそれを口の中に入れた。
「どや」
「…。おいしい…」
「やろ?俺は奈央の作る和菓子でな、水羊羹が一番やと思う」
右京は目を細めて笑うと、また一口水羊羹を口に放り込んだ。