生徒会長様の、モテる法則


「それって凄くない?チョー運命じゃん!」

いや、実は久遠寺くんが人を好きになったと言うのが何か奇跡?
相手の想像が容易に付く、確実に美人で成績優秀でスレンダーで…なんか不二子ちゃん的な!


すげー!
想像が既にすげー!
グッジョブ私の想像力!



興奮気味な私の額を軽く叩いて彼は楽しそうに目を細めた。


「バカ」


「!!!」


「そんなに興奮することですか」


今笑顔で軽く暴言吐いたよ、ギャップがありすぎて一瞬息止まったよ。

でもそんな漫画みたいな話、本当にあるんだと思うと嬉しくなった。


婚約者が好きな人って、凄く運命的じゃないか。
確かに初めは乗り気ではないような感じだったが、それもまた過程の一つ。


「ねぇねぇどんなヒト?」


私少し跳ね気味に久遠寺くんを見上げると、彼は一瞬悩むような表情を見せた。


「…。頭の悪い、天使?」


「え?それ誉めてんの?」


「彼女を的確に表現してると思いますよ」



まぁいいや。
元々毒舌だし…、愛故だろうよ。
例え政略結婚だとしても、望んで出来る結婚なんて素晴らしい!
世間はそうやって生きているのだから、金持ちにそれを奪われる権利はないのだ。



「そういえば、それスイスの民族衣装ですよね?」



久遠寺くんが突然、私のスカートを横から眺めるように首を傾げた。
見ただけで解るなんて流石である。私、全然わかんなかったのに。
白と赤をベースに作られた衣装は、頭に巻かれたスカーフと白いシャツ、それから赤いチョッキは胸元を縫うように紐で固定されている。
スカートは赤、さらに上から白いエプロンが腰から巻かれていた。


正直、可愛い。



「可愛いですよ」



「え!は!?え!」



心読まれた!
違うよ!私がじゃなく衣装が!スイスが可愛いの!!
若干混乱して血の気が引くのが分かる。

調子にのってすいません!!


「よく似合ってます」



スカーフから垂れた肩まで伸びた茶色い髪をサラリと掬って、彼は何とも甘い表情で笑ってみせたのだった。


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