魔王さま100分の2
「そちらのお嬢さんは?」
魔法兵は、へナについて訊ねた。
ヘナは、キーヤの後ろから身体を半分だけ出す。
着ている服は怪しいが、
一応、それ以外は人間と変わりなく見える。
キーヤは、兵士の注意を自分に惹くように堂々と話す。
「この子自身が依頼された荷だ」
「と、言うと?」
「つまり、この子を教会のエミリオという神父に会わせるのが自分の仕事だ」
ヘナは、キーヤにあわせて小さくうなずいて見せた。
「エミリオ神父に?」
魔族便で届けられる黒尽くめの少女が神父に何の用かと、怪訝な顔をする魔法兵。
そこに、ヘナのほうから質問をなげた。
「神父様をご存知ですか?」
魔法兵は、警戒しつつ答えた。
「この都市に来て長い方ですから」
「それは良かったです」
ヘナは魔法兵に顔を見せず、澄んだ声だけで笑みを表現した。
「でしたら、神父様のところまで案内してもらえませんか?」
大胆に、都市の兵士に先導役を願う。