魔王さま100分の2

「じゃあ、僕らはこれで」

シルキスは、笑みで別れを告げる。

「あんた達のこと、事が終わりしだい王国に伝えるけど恨まないでね」

「終るまでは、待ってくれるのか」

「ここに詰めっぱなしの間は、連絡手段がないってだけよ」

アイオネは、シルキスの笑みにつられない様にして答える。

それでも言葉のひとつひとつが丸くなっているのは隠せない。

「会えてよかった」
「行きなさい」

アイオネは、シルキスの為に黒の魔王さまを抱いたまま門を開けた。

開いた門の外からも射し込む朝日。



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