魔王さま100分の2

金の魔王さまの寝顔に陽があたり、
むにゃむにゃっと口を動かしてシルキスに擦りつく。

ヘナは無意識で翼を広げかけ、
途中で深い眠りに戻ってたらーんと垂らす。

苦笑するシルキス。

アイオネに開けてもらった門をくぐり、領地を後にする。

もう、アイオネのことを振り返ることもしない。

ここでの仕事は終わり、次だ次と、真っ直ぐ歩いていく。

アイオネは、そんなシルキスに負けずと早々に門を閉めた。

そして、明るくなっていく空を見て気がつく。

「酷い目にあいましたが、初めて魔王さまと夜をともに過ごせましたね」

アイオネは、寝たままの魔王さまに言った。

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