魔王さま100分の2
ガナクが言ったとおり、シルキス達は海の向こうに立ち込める灰色の雲を最初に見つけた。
密度の濃い、灰色の雲の塊。
勘の鋭いキーヤや、巨鳥の手綱を握るエルフは、雲の中は大嵐だと肌で読み取る。
そして、雲の手前に見えてくる一隻の戦艦。
近づくと、戦艦がいるのは暴風圏のギリギリで、小粒の雨とやや高い波が、風に煽られて斜めに走っている。
ヘナが数滴の雨粒を額と頬に受け、長めの昼寝から目覚めた。
魔王さまが、これまでとは違う角度の風に髪を揺らして、ヘナを真上から覗きこむ。
「おはよう、ヘナ」
「……おはようございます」