魔王さま100分の2

口から手を離して、シルキス。

「買ってしまったものは仕方ありません。お好きなほうを着てください」

「ふふふ、着替えを手伝わせてやろうか?」

シャチでシルキスを突いて挑発する魔王さま。

「手伝うかどうかは別にして、カップルが一緒に入って使える着衣所を探します。一瞬でも目を離すと不安なので」

「カップル?」
「一組になった男女のことです」

「つまり、恋人や夫婦のことだな」

魔王さまは、嬉しそうに言う。
駆け落ち以来、こういう単語が大好きだ。

「そうです」

シルキスは、短く答えた。

自分達は恋人なのか?夫婦なのか?こんな場所で訊かれると困る。

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