魔王さま100分の2
二度来るこはないだろうと思っていたところに、戻されているわけだが……。
シルキスは、布団から出て立ち上がる。
傷は全て治っている。
出血も、痛みも、跡すらもない。
「僕はここでどれくらい寝てた?」
「だいたい丸二日」
「あー、なるほど」
間違いなく、治療してくれたのはヘナだろう。
で、
これもほぼ間違いなく、
船の上、魔王さまに目を向けたシルキスを眠らせたのもヘナだ。
簡単な消去法。
あの時、あの場所で、シルキスを一瞬で昏倒させられる力を持っていたのはヘナだけ。
思い出してみれば、ヘナは既に天使の輪を出し、力を振るおうとしている状態だった。