Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
「あこォ……」


返事が返って来る事のない空に手を伸ばす。

両手を伸ばす。

まるで…赤ちゃんがお母さんにだっこをせびる様に……


ぐぐぐっ…

肩が外れそうなほど、力いっぱい、精一杯、手を伸ばす。


ねぇ、神様?

この広い空は、あっちゃんへと繋がっているんだよね?

何処まで手を伸ばしたら、あの人に触れる事が出来ますか?

この空のはじっこまで行けば、あの人の声を聞く事が出来ますか?

「あこ…無理だよ…

アツシくんは……」


エリが泣き出してしまった。


分かってる…
分かってる!

でもね…


ポロッ……

瞬きをした瞬間…涙が一粒右目から溢れてしまった。


現実に引き戻されてしまった。

ガサッ…

あこはあっちゃんからの手紙をきつく抱き締めた。


そうだよね…

どんなに手を伸ばしても…

抱き締めてくれる、あの優しい腕はもう…
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