Snow Drop~天国からの手紙~(下)【実話】
分かってたはずなのに…

何を期待して、小さくな奇跡を信じているんだろう……


『ハアッ……グスッ…
ごめんねっ…エリ!ヒロトくん、帰ろう?』

力いっぱい伸ばした手をそっと下ろして、小さく溜め息を漏らした。

そして、エリとヒロトの方へとゆっくりと歩き出した。


その時だった…


「あ…あこっ!!」

奇跡が起きた。


「お…おぉぉ…!!
マジかぁーっ?」

急にヒロトがはしゃぎ出した。


3人の吐く息が白い。

『…あはっ(笑)
……すごい…』

ふわり…ふわり…ふわり…

灰色の空からは、真っ白な粉雪がいく粒もいく粒も、あこ達を包み込む様に舞っている。

ふわり…ふわり…ふわり…

ゆっくり…ゆっくりと。
優しく…ゆっくりと。

不思議。

雪って…冷たいもんだよね?

どうして、こんなにも温かいんだろう。


あっちゃん?
あっちゃんなの?


この手紙に書いてある様に、会いに来てくれたの??


涙が溢れる。


『あーっちゃーんっ!!
大好きぃーっ!!』

口元に両手をあてて空に叫び続けた。

あっちゃんに届く様に……


あこは、今でも信じてるんだ。

あの日の粉雪は、あっちゃんだったんだ。

ポン…

「あこ…お腹の赤ちゃんにさわると悪いから…ね?
帰ろう?」

そう言って、あこの両肩を抱くエリの目には、涙が輝いていた。

…そして、あことエリとヒロトは、ゆっくりと公園を後にした。
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