疑似恋愛


ザァ‐
皿を洗いながら台所に立っているのは斉藤恭子。26歳。

リビングでは子供達がはしゃいでいる。長男の勇貴は4歳に長女の萌は2歳。

「こら!走り回って怪我するよ」
恭子は子供達に注意しながらも皿を洗う。
うるさくもないのか、ソファーに寝転びながらダラダラと携帯を触っているのは、旦那の優斗28歳で会社員。
少しでもいいから子供達の面倒見ててくれたっていいじゃない…。
恭子は溜め息をつき、キュッと水を止めた。
「「ママ~」」
抱きついてきた子供達の頭を撫でながら、優斗に言う。
「ユウ、子供達を風呂に入れてあげて」
「ん~…」
こちらを見向きもせず…聞いちゃいない。

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