幼なじみの執事

流されて



絢斗への想いは何をしても今のところ断ち切れないんだって分かってしまったから、その後ろめたさから春日部さんを遠ざけてた。




それでもパパの元で働いてる春日部さんに、別れたいってすぐには言えなくて……


こんな中途半端な自分に嫌気がさす。



それでもこれ以上、春日部さんに甘え続けるのは良くないって思ったから……






「久しぶりに誘われて嬉しかったよ。なかなか会えなくて淋しいけど、受験勉強進んでる?」



「…うん」




まっすぐで優しい春日部さんは、あたしの気持ちを疑ったりしないのかな…?




「あのね…」



「何か話あるんだよね?けど先に腹ごしらえしない?お腹空いちゃってゆっくり話せないからさ」




「あ…うん」




その笑顔に圧されて、流されてしまう。




結局食事中に言い出すことも出来ずに、時間だけが過ぎていった。




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