幼なじみの執事
慣れと諦め
「ただいま」
「おかえりなさいませ」
玄関であたしを出迎える絢斗。
「今日学校は?」
「本日は午前中だけでしたので」
「あっそ」
素っ気なく返事をしてリビングに向かう。
「ねぇ、絢斗。今日の勉強は朱里も一緒でいい?」
「朱里様も…ですか?」
「なんかちょっとだけ用事があるからって、一回帰ったの。1時間後ぐらいには来ると思うから」
「かしこまりました。テーブルなど、ご用意いたしますね」
ソファーに座ったあたしは、機敏に動く絢斗を横目でチラッと見た。
イラつくことはよくあるけれど、その反面この状況に慣れつつもある……
絢斗が執事になって、約1年以上。
諦めに似たこの状態になるまでは、いろんな感情が渦巻いて苦しんだように思う……