幼なじみの執事
隠された感情
「もしもし、絢斗?」
『葵衣様?どうされたんですか?』
ケータイの受話器越しに、驚いた声が響く。
「まだ学校?」
『…はい』
「今日は夕食もいらないし、執事の仕事もいいから。
絢斗はお休みってことで」
『葵衣様は、どこかに…?』
「朱里たちに、カラオケ行こうって誘われたの。
もう家なんだけど、着替えて今から行くから」
『遅くなりますか?お迎えとかは…』
「子供じゃないんだから大丈夫だよ!じゃあね」
一方的に電話を切った。
いつまで経っても子供扱いする絢斗とこれ以上話したら、また八つ当たりしそうだった。
あーヤメ、ヤメッ!!
とにかく今日は楽しむんだから。
玄関の鏡の中の自分に言い聞かせ、街へと向かった。