幼なじみの執事
迷いのとき
「葵衣」
「…………」
「おい!葵衣?!」
「あ……うん?」
「何さっきからボーッとしてんだよ?」
学校帰りの駅までの道。
仁と2人で歩いてたけど、あたしの意識はかなり飛んでいたらしい。
「今日のお前、1日中ヘンだったし」
「ゴメン…ちょっとね……」
昨日の千嘉さんに言われた言葉の数々は、あたしの心をかなりの深さまでえぐった。
あの後…そして今日の朝も、絢斗とはほとんどまともに話せなかったし……
「今日は朱里いねぇし、オレで良かったら何でも話せよ。少しは楽になんだろ?」
風邪で休んでる朱里の分まで心配されてるようで、嬉しくなる。
けど仁にはまだ、あたしが絢斗を好きなことを言ってない。