幼なじみの執事
「じゃあ大学のこととかで何か相談あれば、僕に言ってよ」
「ホントに?!頼りにしちゃおうかな」
すると彼は胸元から名刺とペンを出して、裏に何かを書き出した。
「はい、これ。僕の携帯番号とメアドだから、何か聞きたいことあれば気軽に連絡して」
「うん」
笑顔で受け取り春日部さんを見ると、なんだか複雑な表情をしている。
「どうしたの…?」
「なんかこうやって話してたら、葵衣ちゃんが社長のお嬢さんだってこと忘れちゃって。いい気になって携帯電話とか教えちゃって良かったのかなって…」
「あたしはそう扱われるより、嬉しかったよ。メールとか話したりするぐらい、全然大丈夫だよ!でもパパには言わない」
「何で?」
「あたしが春日部さんと仲良くなって教えてもらったんだから、わざわざパパに報告することないでしょ?」
「…いいのかな?」
「いいの!あとであたしのメアドとケー番送るから」
吹っ切れたような満面の笑みを見せ、頷いた春日部さん。
あたし、新たな出会いにワクワクしてた。
きっと少しでも絢斗以外のことを考えようと、無意識な想いが心の奥底で働いてたのかもしれない……