夢からなるキミへ
ミズキのその言葉と、ミズキの白い頬をつたう涙が僕の心を締め付けた。

僕はミズキさんが、まだリュウゴさんに会いたがってると勝手に勘違いし、ミズキさんと一緒にいられる残された時間を無駄にしてしまった事を…悔やんだ。

『ミズキさん…ごめんなさい』

僕はミズキに謝った。

『ケイゴ…。でも、ケイゴのその気持ちは嬉しかった。ありがとうね』

ミズキは僕に優しく微笑んでくれた。

ミズキのその笑顔を見た僕は、ふと気付いた。今ミズキのためにしなくちゃならないことは…一日でも多くミズキに笑って過ごして貰う事だって。

『ねぇ、ケイゴ。見てみなよ、今日は満月だよ』

ミズキは病室の窓ガラス越しに月を見つめていた。

僕も窓ガラス越しに月を見ると…窓ガラスを流れ落ちる結露と月が重なり、まるで月が涙を流し泣いてるようだった。

月も僕とミズキの短い幸せを、悲しんでいてくれてるように、この時僕は思った。
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