夢からなるキミへ
『ケイゴ、あたしね…病気になってある意味良かったなって思うんだ』

ミズキは僕の腕の中でそんな事を言った。

『えっ!?どうしてですか?』

『元気な頃は明日が来るのが当たり前で、何気なく過ごしてたケイゴとの時間もさ…もう長く生きられないってわかってから、一日一日がすっごく楽しく思えてすっごく大切に思えて、ちゃんと毎日を生きてるんだって思えるようになったの。神様は一日一日を無意味に生きてきたあたしに、それを教えるために…あたしに病気を与えたのかもね』

『ミズキさん…』

僕は僕の腕の中にいるミズキの顔を見た。

『それにね、あたし思うんだ。病気なのがあたしで…ケイゴじゃなくて良かったなってね』

『えっ!?』

『もしケイゴがこの世界からいなくなったら、あたしにはきっと耐えられないもん』

『僕だって…耐え…』

僕がそう言おうとしたら、ミズキは僕の唇に人差し指をあてた。
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