夢からなるキミへ

*サヨナラさえも言えないまま*

年が変わると同時に、ミズキの状態はかなり悪くなり、毎日毎日を必死に生きようとしていた。

僕はこの日もいつものように、会社帰りにミズキの病室に寄った。

『ミズキさん…大丈夫ですか』

僕はベッドで辛そうにしているミズキの手を握りしめた。

『ケイゴ…お願いがあるの…。最後にもう一度だけ…海を見たい』

ミズキは、ミズキの手を握りしめる僕に言った。

『海を!?…それは無理だよ。ミズキさんはこんな状態だし…』

『お願い…もう一度だけ…。あたしの…あたしの…最後のワガママだから…』

ミズキは僕に必死に頼み込んだ。

『…じゃあ、お医者さんに聞いてみるから、お医者さんの許可が得られたらね』

僕はそう言って、ミズキの担当医のもとを訪ねた。

『先生ダメですか?』

僕はミズキの担当医に外出許可を頼んだ。

『今の患者の状態は大変危険です。もう明日ですらどうなるかわからない状態ですから…外出は許可出来ません』

医者はやっぱり外出を認めてくれなかった。
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