涙が枯れるその日まで
陸「俺を泣かせたいわけ?」

私「違うよ。我慢して欲しくないだけ。泣いても今更どうにかなる事じゃないけどさ、気持ち吐き出せば少しは楽になるんじゃないのかな?」

陸「みぃこってお節介だよな…」

陸くんは車を停めた。

そして下を向いて話し出した。

陸「あの時俺が運転してれば、兄貴死なずに済んだよな…」

陸くんは少し震えていた。
泣いているのがわかり、私は陸くんを抱きしめた。

陸「兄貴最後まで俺の事気にしてた。トラックが突っ込んでくる直前に、俺に大丈夫か?って聞いてきたんだよ。マジバカだよな。トラックの方見てれば、避けれたかもしれねえのに…」

陸くんはこれ以上は話す事なく、静かに泣いていた。

陸くんが泣いているのを見るのは、今までもこの先も、この日だけだった。

私は何か言おうかと思ったが、浩さんの思いは陸くんにちゃんと伝わっていると思ったから、あえて何も言わずに抱きしめていた。
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