六花の騎士



馬を走らせ、町から少し離れた林に少女、キャリベル・ライレットは向かった


(もっと早く付いてれば……)


唇を噛みながらキャリベルは表情を歪める
おかしい、空気がピリピリしてる
いつの間にか虫の音さえ聴こえなくなっている
すると、林の隅に赤い光りを見つけた


赤い光り……いや、燃え盛る炎



(待って……ダメよ……)


これは直感だ
ライレット家がもつ稀なる能力
背筋が凍る
震える事も出来ない
頭の隅に危険信号が点滅するように、本能が危険だと告げている


それでも先へ進み、馬から飛び降りた
赤い髪を見つけて、そこに駆け寄る



しかし、その前に嫌な直感は現実となった
子供の周りにいた男たちが、炎に包まれるように消えた


(……ダメ)






「待って!!ダメーーーーーー!!!」








キャリベルは腕に包むように子供を抱きしめた



灼熱の焔の中で









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