六花の騎士



雨が降っている



記憶にある雨の夜はいつも冷たかった




けれど、今日の雨はどこか優しい気がした
それは隣に座る少女のせいかもしれない……


偉い先生の講義を聞きながら隣をチラリと見る
儚げで繊細な細工物のような容貌、ユリアとは真逆の長く艶やかなストレートの髪
別に自分の癖のある髪にコンプレックスがあるわけではないが、触りたくなるようなメノリの綺麗な髪は羨ましい


見た目の柔らかさだけでなく、雰囲気が柔らかな水流のようだ


その雰囲気でトーワの事もどうにかしてしまったのかもしれない

幼い頃から一緒だがトーワは頑なに人を寄せ付けなかった
だが、今はどことなく角がとれたように思う





< 220 / 364 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop