泡姫物語
1章 決意
透きとおった満月の夜

流れ星を見た

でも私は何も願わない

神様も仏様も占いも信じない

だって願いが叶うなら今頃もっと世界は平和なはず


貧困な国から

「食べ物がほしい」

と願っているとき

日本から

「痩せますように」

と願っている


世界にある食べ物は全ての人間に均等に分ければ充分に行き渡ると聞いたことがある

そんな簡単な問題も解決出来ず、未だに貧困で消えゆく命があるこの地球に、神様も仏様もいるわけがない



「またその話ぃ?友紀はいつも難しいことばっか考えてるよね」

――そうだった。私は酔うといつも同じ話をしてしまう。

合コンの席で向かいに座る男性陣が明らかにドン引きしている。

(またやっちゃった……)


「友紀はさ、黙ってれば美人なんだからおとなしくしてればよかったのに」

帰りの電車の中、愛子にいつものダメ出しをされる。

愛子は私の幼なじみで大親友。

よくモデルみたいだと言われる私の容姿とは違って小柄で胸を隠すほどのゆるふわパーマがよく似合う可愛らしい女の子。

「だって好みのタイプじゃなかったし……」

「仕方ないじゃん。友紀の好みの男を集めるのは難しいんだからさ」

私は正直モテる。
けど近寄ってくるのは的外れな男ばかり。

みんなは私に近付く男をかっこいいとか言うけど、いわゆるジャニーズ系とかキレイ系ってみんな同じ顔に見えるの。
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