泡姫物語
「修がそこまで考えて頑張ってるなんて意外すぎるよ。大学受験の時だって特にしたいことがないって言いながら総合大学受験してたし」

「そうなんだよ。モデルのバイトをするまでは特にしたことも無いままだったけど、軽い気持ちで始めたこの仕事に惹かれていったんだ」

ガキっぽいとしか思っていなかった修でもこんなに将来のこと真面目に考えているなんてすごいな。

「俺が将来カメラマンになったらふたりの写真も撮ってあげるよ。ところで、ふたりは今どんな仕事してるの?」

私と愛子は顔を見合わせた。実は昨日、修がもし仕事のことを聞いてきたらどうしようって話したばかりだったのだ。修には隠し事をするのはやめようと正直に言うことに決めていたのだ。

私たちは今の職業を明かし、目標があること、目標を達成するまでこの仕事を頑張っていくつもりだということ、すべてを話した。
修はふたりがソープ嬢だという告白に驚き、しばらく言葉を失っていた。

軽蔑されるだろうか。嫌われてしまうだろうか。今までふたりだけの秘密にしていたのでどういう反応をされるか不安だった。

「そっか。正直かなり驚いたし複雑な心境だよ」

やっぱり。嫌われるかな。それとも辞めろって怒られるかな。
このあと修が何と言うかドキドキしていた。

「でも、ふたりも目標に向かって頑張ってるんだろ?それなら俺も友達として応援しなきゃな!」

私たちは呆気にとられた。なかなか理解してもらえないだろうと思っていたのに。

「俺のイメージでは大変な仕事だと思う。それはどんな仕事でもそうなのかもしれないけど、無理だけはするなよ」

「修が理解してくれてよかった!」

「修君には隠し事しちゃいけないって思ってたんだ」

「そうか。じゃあみんなの夢に向かって乾杯しようぜ」

そう言って豪快に私たちのグラスにワインを注ぎ、みんなで乾杯した。

――3人の夢が叶いますように。
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