ムーンライト・リヴァース
「おっはよー。」

バスケ部をさしのいて教室へ突き進んでくるのは、今話題のイケメン俳優、水木空。

こっちもこっちで何かと人気。

それはクラスの中だけでなく、日本の全国へもつながっている。

「水木君っ!昨日のドラマ見たよ~」

「メッチャかっこよかった~!」

「ねぇねぇ、今度カラオケ行こうよっ!!」

次々に話しかける女子達。

クラスはバスケ派と俳優派にいつも分かれる。

もちろん光も。

光はバスケ派にいつもいる。

私はどっちでもないが、水木が私の隣の席なので自然と水木派に溶け込んでいた。

「篠原さん、ちょっと邪魔なんだけど。水木君に用がないならどいてて。」

こういわれることも良くある。

そりゃそうだろうなぁ。

だって日本全国の女子学生が好きな人気絶頂のイケメン俳優だもん。

私は素直にどいて窓の外を見た。

「篠原さんっ!」

水木が私のことを呼ぶ。

私は無表情で振り返った。

「おはよっ!」

私をかわいそうだと思ってなのかいつも話しかける。

でも、いつも周りの女子の視線がいたい。

私はにっこり笑ってまた前を向くことしか出来なかった。

そんな様子を澤西がじっと見つめているのには到底気づきもしなかった。
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