それは、輝く星空のように
『お前の働きには期待している』


権造が、このように安っぽい褒め言葉を使ってくるというのは、珍しい。


智徳自身、初めて言われた。


『お前が誰のために金を稼いでいるかは知っている』


そして、揺さぶってくる。


『オレがその気になれば、お前の願いをぶち壊すことができる・・・それはわかっているな?』


「・・・はい」


『時間がないのだろう?』


すべて、知られている。


『なら、やることはひとつだ』


「・・・・・・」


少年は、今までの人生を思い起こす。


金にまみれた日々。


金のために、生き続けた日々。


そのために、たくさんの人を不幸にしてきた。


今更、引き返すつもりはない。


初めて権造から仕事を受けた時、自分は悪魔に魂を売ったはずだ。


その業を、受け入れる時が来た。


ただ、それだけだ。


「俺は・・・」


少年の回答は、権造をうならせた。


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