鎧~ヨロイ~

両親の気持ち

週末に、両親が“甥”に会いに行くという。

「いいおじいちゃん、おばあちゃんしてきてね」

と笑顔で送り出した。

また、私の“鎧~ヨロイ~”が厚くなった瞬間だ。

弟に子供ができた今でも、わたしは恋人すらいない。
彼氏のいない友達と、たまにお見合いパーティに行くくらいだ。
そして、ほぼ100%カップルになる。

お見合いパーティなんてちょろいもんだ。
ほんの少しの『さくら』がいるのはすぐわかる。明らかに、ホンキの人とノリが違い、かっこよかったりする。
ホンキの人は、やっぱりぱっとしない。
その人たちは、私が看護師であることで8割は“落ちる”。
そして、とびっきりの笑顔で「そうなんだ~」と言えば、10割“落ちる”。
カップルになったからといって、その後きちんとお付き合いをしたことはない。
そいう出会いで知り合った人と付き合うことも、もちろん結婚することも、私のプライドが許さないから。

私は、すぐに自分を“客観的”に見てしまう癖がある。
この前、おばさんになった自分――。
お見合いパーティで、笑顔を振りまいている自分――。
仕事をバリバリしている自分――。
好きでもない男の人と、暇だからとテキトーに遊んでいる自分――。
辛いことがあっても、それをひた隠しにしている自分――。

一体、どれが本当の自分なんだろう。
考えれば考えるほど、私の“鎧~ヨロイ~”は、やっぱり厚くなり、そして安心する。

両親は、私のそんなところを分かっているのかいないのか、娘の私にはわからない。
30歳の誕生日を迎えた私に、母が言った。

「30代は1回しかないんだから、焦らず、悔いのないようにね!」

焦らず、というところは、結婚に焦っている私が、何かの言動からばれていたんだろうか?

20代は、あっという間だった。
まるで、あり地獄に落ちてしまったかのように、もがいてももがいても、そこから抜け出せないまま、あっという間に、本当の負け犬世代に突入してしまった私。
両親は、そんな娘を、どう思っているんだろう。
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