秘密~「ひみつ」のこと
容子ママが、台所で
あたしに小さく囁いた。

『和徳をよろしくね』って。

よろしくって言われても、
お世話されてるの
あたしみたいな気がするし、
なんか、
ちょっと照れくさくて、
小さく『はい』って頷いた。

容子ママの手料理はかなりの腕前で、
兎に角、すっごく美味しかった。

海老の入ったグリーンサラダ、
チキンのグリル、
温野菜の付け合せ、
南瓜のスープ、
デザートはイチゴのムース。

ロールパンももしかしてお手製かも…

あたしが、
『美味しい!』を連発してたら、

『俺らは、ドーンと肉野菜炒め、みたいなのが好みなの』
って、お兄さんが意地悪言って容子ママを怒らせてた。

『だから、男の子はつまらないのよ。サキちゃんみたいな、可愛い娘が欲しかったわぁ』って、容子ママ。

横からお父様が、
『母さんの料理はいつも美味しいぞぉ』
って、助け舟だしてました。

容子ママに、
『いつでも遊びに来てね!』
って言われちゃったよ。

あたし、
第一次関門突破
かな?

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