秘密~「ひみつ」のこと
でも、
その後の悪夢…

三週間後、
咲は何処かへ貰われていった。

朝起きたら、
咲が隣りにいなかった。

あたしの知らない間に、
母が養子縁組の手続きしてた。

「その歳で、父無し子なんて育てられっこない!世の中甘くみるんじゃないよ!あたしはあんたとその子、二人の面倒見るなんて、死んでもお断りだよ!」

母は凄い剣幕でまくし立てた。

あたしの乳にしゃぶりついてた、
可愛い咲。

おむつを換える時、
お尻に見つけた小さなホクロ。

あたしと同じ場所、
咲とあたしの
確かなつながり…

そんなささやかな幸せも
母は私から奪い取る。

あたしを憎むのと同じように、
母は咲も可愛くないんだ…

あたしは憎まれるだけの存在?

愛することも許されないの?

胸をかき乱す孤独…

夜、また眠れなくなった。

また、
悪夢を、
一から始めるつもり?

もう、
嫌、
もう男は求めない。

心に誓った。

男の身体で、
あたしの寂しさ
埋めれない、
って解ったから。

いっそのこと
あたしも居なくなれば、
あんたもスッキリするでしょう!

あたし、
もう、
ここには居られない、
居たって、
余計、
惨めになるだけ!

そして、
あたしは家を出た。

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