ねぇ、先生…
「もうこんな時間じゃん」

気がつけば壁に掛けてある時計の針は8時30分を示していた。

周囲の先生や生徒達は片付けをし始めている。その後を追うように私達も片付け始める。

毎週、この時間が終わるのはとても早い。

もっと、続けばいいのに……
もっと、先生と一緒にいたい。

そんなこと口に出来る訳もなく、可愛げの無い私は「やぁっと終わりましたね」と心にもないコトを言う。

そう言わなければ「まだ一緒にいたい」と言ってしまいそうだった。

「本当はもっと一緒にいたいくせに。明日も来る?」

先生は笑顔でさらりと心にもないコトを言う。

そんなコト理解しているのに、先生の一言一言、一挙一動が私の心を動かす。

毎回ドキドキし過ぎて、心臓に悪い位。

「週1の90分で充分です☆これ以上宿題増やされても嫌ですし」

「なぁんだ、残念。じゃあ、今日はこれで終わりますか」

私達は立ち上がり、出口に向かう。

教室を出る時に

「お先にどうぞ、姫」

なんて妙にかしこまった言い方をしてドアを開けてくれる。

「姫」って呼ばれたコトがくすぐったかったけれど

「くるしゅうない」

なんて、平気な顔で言ってみせる。

「……」

お互いが、無言。

だけど堪えきれなくて、私が笑う。
それにつられて、先生も笑う。

先生といると笑いが絶えなかった。

先生の笑顔をずっと傍で見ていたいと思った。
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